5を、見送りました。

15年ぶんの相棒を手放した日のこと

こんにちは、IKUKOです。

ハイパーナイフ7が来て、ふた週間ほどが経ちました。

新しい機器のことは、先日書きました。 今日は、その前の話を書かせてください。

去っていったほうの、話です。


目次

箱に詰めながら、手が止まりました

下取りに出すため、旧いハイパーナイフを梱包しました。

コードをまとめて、ハンドピースを外して、緩衝材を巻いて。
淡々とやればいい作業のはずなのに、途中で手が止まりました。

この子で、いったい何人のお体にふれてきたんだろう、と思って。

数えたことはありません。
でも、この15年、わたしの手はほとんど毎日、 このハンドピースを握っていました。


流行に、乗らなかった日々

正直に言うと、何度も「乗り換えませんか」と誘われました。

美容の世界には、次から次へと新しい波が来ます。
別の方式の機器が話題になり、 まわりのサロンがどんどん切り替えていった時期もありました。

そのたびに、少しだけ心が揺れました。
「置いていかれるんじゃないか」と思ったこともあります。

それでも、変えませんでした。

理由は単純です。
この機器で、お客様のお体がゆるんでいくのを、 わたしはこの手で、何百回も確かめていたからです。

話題になっているかどうかではなく、 自分の手が知っているかどうかで選びたかった。

流行に乗らなかったのではなく、 すでに信じられるものが、手元にあっただけでした。


「限界」は、静かにやってきました

終わりは、ある日突然ではありませんでした。

施術の途中で、モードが勝手に切り替わるようになったんです。
最初は一度きり。
そのうち、たまに。やがて、ときどき。

メーカーに問い合わせると、 修理に必要な部品は、もう作られていないとのことでした。

ああ、そうか、と思いました。

がんばれば、まだあと数年は動いたかもしれません。
だましだまし、使い続けることもできたと思います。

でも、施術中に「今日は大丈夫かな」と一瞬でも思うこと。
それが、いちばんの問題でした。

お客様にふれている時間に、道具を気にしたくない。

その一瞬の意識が、手から抜けてしまうからです。


道具に、お礼を言う人でありたい

エステティシャンの仕事は、手の仕事です。
けれど、手だけでできる仕事でもありません。

長く使った道具には、その人の仕事の癖がしみこみます。
持ち方も、動かす速さも、当てる角度も。
気づけば、わたしの手のほうが機器に合わせて育っていました。

だから、これは買い替えではなく、世代交代だと思っています。

新しい7は、確かによく働いてくれます。
奥まで届くし、仕上げのマナオイルでの造形マッサージも、 以前より格段にやりやすくなりました。

でもそれは、 5が15年かけて教えてくれたことの、続きなんです。

深さを見極める感覚も、当てる速さも、力の抜き方も。
ぜんぶ、前の相棒に育ててもらいました。


ここは、そういう場所です

紹介制の、小さな隠居サロンです。

たくさんの方をお迎えする場所ではありません。
だからこそ、道具に妥協したくない。
数を追わない代わりに、質は一切落とさない。

そして、去っていくものにも、きちんとお礼を言いたい。

ありがとう、と声に出して、蓋を閉じました。
われながら、ずいぶん恥ずかしいことをしたと思います。

でも、25年この仕事をしてきて、 道具を大事にしない人が、
人の体を大事にできるとは、 どうしても思えないんです。


新しい相棒と、またここでお待ちしています。

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どうぞご自愛を。

戦わなくていい。ただ、整えばいい。

IKUKO

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